Video&Photograph : Katsuhisa Kida / FOTOTECA
誰かがいってた。
園舎は「つかってこそ」価値がある。遊具として使えばさらに価値がある、と。
ぼくもその考え方に大賛成。
こんどの園舎は、回遊型。園舎のまわりを子どもたちがグルグル走りまわれる。建物一周、約120メートル。例えば、これを子どもが、よろこんで走り回ったとしよう。単純に10周で、1キロメートル。夢中になって、園舎の周りをグルグルまわっているうちに、一日、10キロメートルぐらい走りこんじゃった、なんてこともありえる(かも)。もうそうなると、卒園までにけっこうな筋力がついてるじゃないかな(雨の日だって、はしり回れちゃう)。お父さん、お母さん、ぜひ、入園前の子どもの「きんにくのつきかた」と、卒園する時の子どもの「きんにくのつきかた」を比べてみて。とくに「ふくらはぎ」、びっくりするかも。
鉄でもコンクリートでもなく、あたたかみのある木造の園舎。
保育室・乳児室・調乳室・木よく室・調理室・職員室・多目的トイレ・スロープ。
ころんでもあまりいたくない木材の床。床暖房(低温やけど防止)・冷暖房・保育室を通りぬけていく「やわらかな風」と「こもれび」を完備。
子どもが育つために必要な「しかけ」がある、そこそこ広い園庭。「こども園は、遊園地じゃない」を合言葉に整えていく予定。魅力的なキャラクターや、お城のような遊具を設置すれば、子どもは惹かれるかもしれないけど、長くはもたないだろう。それが本質じゃないと、子どもたちはどこかでわかっているから。ぼくたちがつくるこども園は、遊具やキャラクターになるべく頼らず、築山や木・土・砂・水を多用した「こどもが育つ場所」としての「にわ」をつくっていく(つもり)。
手塚建築研究所
手塚貴晴+手塚由比
OECD(世界経済協力機構)とUNESCOにより世界で最も優れた学校に選ばれ、経済産業大臣賞を受賞した「ふじようちえん」を始めとして、子供の為の空間設計を多く手がける。